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田舎での幼少期 最終章

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私はワクワクした。

あとどれぐらいで可愛い子犬に会えるんだろう?
何匹生まれるのかな?


子犬を見るのは生まれて初めてだったから。


私は嬉しくってばあちゃんに聞いた

「子犬あとどれぐらいで生まれるの?何匹くらいかなぁ」



するとばあちゃんは少しだけ顔を背け

私の顔を見ないで言った。




「生まれても流しっちまうぞ」





え?なに?どういう意味?


幼い私ははじめ意味がわからなかった。


「流すってなに?」

近くにいた叔父(父の弟)に聞くと。


「そんなにうまっちぇも(生まれても)育てらんねーから川に流すんだ」



川に流す?なにそれ?生まれた子犬を流すの?
なんで?


「なんで!?なんでそんなことするの?かわいそうじゃない!

何匹?何匹流すの?1匹?2匹?」


私はワケがわからなかった。
なんでそんなひどいことをこの人達はしようとしてるんだろうか?
冗談だろうか?
叔父達は(その頃母屋には結婚していて子供もいる叔父家族と独身の叔父が住んでいた)
よく冗談を言って私をからかっていたので、今度もそうかもしれないと思いたかった。


そんなことを思った私が聞いたのは


「全部だ、子犬は全部流すんだわ。


  今までもそうしてきたんだわ」



今までそうしてきた。今までもそうしてきたそうだ。
このあたりはそれが当たり前なのだと言った。

どこの犬も。どこの猫も。みんな生まれたら流す。
どこの家もみんなそうだと。言った。



              庭の石の上は小さい頃からお気に入りの場所

田舎での幼少期 最終章_c0065643_2064335.jpg




チーちゃんの赤ちゃんが生まれるまでの間のことは正直あまり覚えていない。

父に何度も泣いてお願いした記憶が少しだけ残っている程度だ。
それも、思いだそうと脳で作業を開始したここ最近少し思いだした程度で

記憶から消したのだろうと思う。




それはある朝のことだった。

誰が呼びに来たのかは覚えていない。
多分叔父の子だろう。

「生まれたよ!チーの赤ちゃん生まれたよ!!
  Yちゃん早く早く!!」

叔父の子達も子犬を楽しみにした、

と同時に  流されることに怯えていた。

彼女たちはもう何度か流されるのは見ている。
目にはあきらめがあった。



子犬は7頭だったと思う。

チーの乳を吸っていた。


生まれたてで、小さくってねずみみたいな子達。

茶色い子や薄い茶色の子や白黒のブチの子。


可愛かった。こんなに可愛いんだから流せるはずがないって思った。


「流さないでしょう?可愛いもんね。うんうん可愛いよね。流さないよね?」


「流すって言ってっぺ」

叔父は吐き出すように言って子犬をチーから引き離しだした。


え?もう?今日なの?さっき生まれて、数時間しかたってないのに
もう流しちゃうの?


私はオロオロとして1匹をとっさに抱き上げた。



叔父と父は生まれたばかりの子犬を抱けるだけ抱いて、
川へと降りていった。


今思えば何度も往復したくなかったのだろう
抱けるだけ無理して抱いていた。

父は無言だった。
何も言わずの子犬を抱き上げ
川へ降りていった。


チーは?チーはどうしていたのだろう?
チーを思い出せない

多分私はその時のチーの気持ちより
誰にも気づかれず抱っこできたこの犬を
助けられるか?どうするか?そればかり考えていた。


このまま犬を流し終えれば大人達は仕事に行く
そしたらこっそり子犬をチロに戻せば今日はもう見つからないかもしれない。

私の気持ちがわかるのか
叔父の子達も私が抱いてるのを気づいてるのに何も言わない。

父や叔父達の戻ってくる足音がする。

あんたの兄弟はもう冷たい川を流れてしまった。
今走れば間に合うか?流れてる赤ちゃんを助けることが出来るか?
ああああでもそれは出来ない。
だからだからごめんね

あんただけ絶対助けるよ。







「なんだぁ!1頭抱いてるじゃねーか」



そんな誓いもむなしく、すぐに私は子犬を取り上げられてしまう。



「お願い!1日でいいの!1日でいいから待って
 明日にして。

この子だけは明日にして!お願い!」


泣きながら頼んだ。


    あー書いてて涙が出る。ちきしょう 書きたくない。



でも叔父はそんな私の願いを聞き届けることなく
私から子犬を取り上げ川に降りていった。


叔父は知っていたのだ、1日置いたら余計情ががわくことを。



父は。。。。


父は動物好きだ

その父が生まれたての子犬を自ら川に流す。


イヤだとは言えない。
血が繋がらない長男だから。離れに住まわせてもらってるから。
父は“流せない”なんて言えない。

犬が好きな父は自らの手で犬を殺す


はぁ~また泣けて来た。
だって私は激しいファザコンなのだ。


虐待から人を噛むようになったMダックスのねじ。
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破棄されるところを近所の方に救われ
あやっちさん経緯で実家の里子になった

当初は父も噛まれて私に返そうと何度も思ったそうだ。




そんなねじは今父の膝枕で寝ている。








叔父は、6年も前にガンで亡くなった。
川から流れてくる犬を救ってると良いけど。



それからも。
子犬は生まれるたびに流された。

私はもう子犬を見に行くことをしなかった。


いつしか我が家は離れから引越をして
少し離れたところに暮らした。

チーは死んだと聞いたのは中学生の時だったと思う。


父が埋めに行った。



今も思う。


流れていったあの子達は

みかんだったかもしれない。

要だったかもしれない。

マロンだったかも、あーちだったかも、もなちゃんだったかもしれない。


哀しい目のチーはシェリーだったかもしれない。


そして、

兄弟より数分だけ長く生きて私の腕に抱かれた白黒のブチの子は

あけびだったかもしれない。



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長い間お付き合いありがとうございます。

哀しい話はこれで終わり。




またいつものお気楽脳天気なブログへと戻りますので。
皆様お楽しみに。



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by man_getu | 2006-03-03 10:03 | 哀しい話  

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